突然、内容証明や電話で慰謝料請求された!
その時、あなたはどのように対処すべきか
数百件の慰謝料トラブルを解決した弁護士が経験に基づき徹底解説します
第5回
1 相場はどのように決まるのか
(1)重要な要素は「夫婦関係が破綻したか」どうか
相場を決める上で一番重要な要素は、不倫の結果、相手方夫婦の「夫婦関係が破綻したかどうか」です。そして破綻の典型は「離婚」です。
一般的な相場は以下のとおりです。
■相手方夫婦が離婚しない場合
数十万円~100万円
■離婚した場合
100万円~300万円
このように、慰謝料の額には幅があります。具体的にどのような事情があれば慰謝料は減額されるでしょうか。次項で具体的に解説します。
(2)慰謝料が減額される例
①相手方の夫婦が離婚に至っていないこと
不倫の結果、相手方が離婚に至っていない場合、100万円を超えるような慰謝料が認められるケースは少ないでしょう。
②相手方の夫婦に未成熟の子がいないこと
子がいる場合、離婚等に至れば子の養育を1人ですることになる可能性がありますので、慰謝料が増額する傾向にあります。
反対に言えば、子がいない場合は減額される可能性があります。
③相手方の夫婦の結婚期間が短い
結婚後、短期間で不倫が発覚し、離婚することになった相談者から「結婚してすぐに離婚することになった方が精神的損害は大きいのではないですか?」と質問されることが多いですが、裁判上では、婚姻期間の長い方が慰謝料は高くなる傾向にあります。
一概には言えませんが結婚期間が4~5年であれば、短期間と評価され慰謝料が減額される可能性があります。
④不倫の期間が短い・不倫の回数が少ない
不倫の期間が「1年以内」、回数が「数回」に留まる場合には、不倫の内容が悪質ではないと判断され慰謝料が減額される可能性があります。
例えば、2~3回の関係で、相手方夫婦は離婚せず、他に慰謝料が増額される事情がない場合、正しく交渉すれば50万円以下の慰謝料になる可能性も十分あります。
⑤不倫相手が、不倫を積極的に主導していた
もしも、あなたが不倫に積極的だった場合、不倫は相手方夫婦の夫婦生活を破壊する可能性のある行為ですので、慰謝料が高くなる傾向にあります。
反対に、「不倫相手から積極的に交際を求められた。」「仕事上の立場を利用され断りきれず不倫関係になった。」等の事情があれば慰謝料が減額される可能性があります。
⑥不倫が終了している
不倫が終了している場合も、継続している場合と比較して悪質性は低いと考えられますので慰謝料の減額される可能性があります。
⑦謝罪している
裁判例では相手方に謝罪している場合、慰謝料が減額される可能性があります。
他方で、「不倫の事実を否認した」「嘘をついていた」等の事実があれば慰謝料が増額される可能性がある点に注意が必要です。
この点、相手方から慰謝料を請求された場合に、不倫していたにもかかわらず不倫の事実を否認すると、裁判になった場合に増額事由になる可能性があるため、相手方から不倫の有無を聞かれた際は「弁護士に相談してから回答する。」等答え、その場で回答しない方がよい場合があります。
決して、謝罪の強制はしないですが、謝罪するのであれば弁護士に相談後「弁護士を通じて謝罪」すれば良いでしょう。