第12回
目指すべきは穏便な解決。しかし、戦うべき時は徹底的に
1 穏便な解決とは
(1)相手方の納得
(2)経済的負担は少なく
(3)早期解決
(4)再び争いを発生させない
2 戦うべき時は戦う
(1)どのような場合に戦うべきか
①解決の可能性が全くない度を越した不当・過大な要求
②解決の可能性が全くない度を越した交渉の引き伸ばし
(2)具体的な戦い方
①交渉拒否
②債務不存在確認訴訟の提起
1 穏便な解決とは
(1)相手方の納得
不倫トラブルは感情的な問題ですので、100%相手方に納得してもらうことは難しいかもしれません。
しかし、一応の納得をしてもらわないと問題は解決しません。
もっとも、多くのケースでは相手方の要求の全てに応じることはできませんので、示談交渉をすることになります。
請求側の事件を担当していると、まれに「事件とは無関係な反論」「こちらの依頼者の人格への攻撃」等を行う弁護士と出会うことがありますが、このような交渉態度では交渉に悪影響が生じる可能性があります。
主張すべき点はしっかりと主張することは当然ですが、謝罪すべき点があるのであれば真摯に謝罪し、誠意を持って対応することが穏便な解決のためには必要です。
(2)経済的な負担は少なく
示談交渉での解決を目指します。実際に、ほとんどのケースは示談で解決します。
一般的には、示談で解決した方が経済的負担が少なくすむケースが多いでしょう。
裁判になった場合、こちらにも相手方にも弁護士費用等の経済的負担が発生します。その結果、こちらが示談交渉時よりも増額した慰謝料を提示しなければ相手方が応じてくれない可能性が高まります。
もちろん、ケースによっては、相手方の希望する慰謝料額よりも裁判所が判断した金額の方が低いことも多いため、場合によっては裁判で解決した方が良いケースがあります。
どのような対応を取るべきか、裁判での見込み額や弁護士費用を考慮した難しい判断が必要になりますので、弁護士から見通しについてしっかりと説明を受けましょう。レイ・オネスト法律事務所では、全てご説明いたします。
(3)早期解決
トラブルが長引けば長引くほど、精神的にも辛く、双方とも感情的になり解決が難しくなる可能性が高まります。
「なかなか弁護士と打ち合わせができない」「弁護士がいつまでも相手方へ連絡してくれない」等の事情によって交渉に悪影響が出てはいけません。
交渉は「スピード感を持って行うこと」が重要です。
弁護士選びの際は、今後の流れを弁護士に確認する等して、スピード感を持って対応してくれる弁護士かどうか見極めましょう。
(4)再び争いを発生させない
第10回「示談書・合意書の作成と注意点」で説明しましたが、再び争いを発生させないことは非常に重要です。
そのためには、示談書の内容が重要ですので、示談書作成は弁護士任せにせず、疑問点があれば、しっかりと説明を受けましょう。
2 戦うべきときは徹底的に
(1)どのような場合に戦うべきか
①解決の可能性が全くない度を越した不当・過大な要求
「相場をはるかに超える高額の慰謝料の減額に全く応じてくれない」「自分の妻(夫)や勤務先に不倫の事実を自ら報告するように求められた」「別の都道府県への引越しを要求された」等、到底こちらが応じることができない要求をしてくる人がいます。
当然、このようなケースでも粘り強く交渉する必要があります。
しかしながら、どうしても相手方が譲歩しない場合、裁判では、相手方の要求は認められませんので「最終手段」として相手方に裁判をしてもらった方が良い場合があります。
こちらが何らかの責任を負う場合、自らの責任を果たす必要はありますが不当に重い責任を負う必要はありません。
このようなケースではレイ・オネスト法律事務所が全力であなたを守ります。
②解決の可能性が全くない度を越した交渉の引き伸ばし
まれにですが、自ら請求しているにもかかわらず、こちらからの回答や条件の提示に一切回答しない方がいます。
その場合「いつ訴訟されるか分からない」という状態となり、不安を持つ方が多いので、相手方はこちらの精神的負担が増えることを目的にしているのかもしれません。
このような場合、後述する「債務不存在確認訴訟」という手段がありますので、次項で説明します。
(2)具体的な戦い方
①交渉拒否
前項で述べたように、あまりに不当・過大な要求によって解決の見込みがない全くない場合、相手方に裁判してもらった方がよいケースがあります。
この場合、こちらが最終的に応じることが可能な条件を提示し、相手方がそれに応じない場合には、こちらから交渉を拒否する場合があります。
この場合、相手方は裁判をするしか請求を継続する手段がありません。
もっとも、相手方の過大な要求は裁判で認められる可能性はほぼありませんので、「裁判しても無意味」と判断してくれるのであれば、最終的にはこちらの希望条件で示談に応じてくれる可能性があります。
②債務不存在確認訴訟の提起
「債務不存在確認訴訟」とは、「相手方の請求権が存在しないことの確認を求める裁判」のことです。
慰謝料の場面では、「相手方の慰謝料請求権が何らかの理由によって、存在しないことの確認を求める」ことになります。
この裁判をした場合、相手方は、この裁判を無視できません。
なぜなら、無視した場合、相手方には慰謝料請求権がないことが確定し、今後、慰謝料が請求できなくなるからです。
そこで、通常、相手方はこの「債務不存在確認訴訟」に対し「反訴」します。
反訴とは、「同じ裁判手続きの中で、相手方がこちらを新たに訴えること」を言います。
すなわち、こちらが「慰謝料が存在しないことの確認」を求めたのに対し、相手方は「慰謝料を請求する」と訴えるのです。
このように債務不存在確認訴訟を提起すれば、裁判所で慰謝料の問題を法的に解決することができます。
もっとも、この訴訟は「こちらから相手方に対する攻撃」と取られかねない手段です。
もしかすると、相手方が連絡してこないのは相手方に請求意思が無くなったのかもしません。
そうだとすると、この訴訟によって「寝た子を起こす」ことにもなりかねません。
様々な可能性がありますので、見通しについて弁護士からしっかりと説明を受ける必要があります。